書評「40歳が社長になる日」と岡島悦子さんの経歴

ビジネス書

今回取り上げる本は、『40歳が社長になる日』(岡島悦子著)です。本のタイトルから想像がつくとおり、経営人材の若年化をメインテーマとしてサクセッション・プランニング(次世代リーダーの後継者育成計画)の必要性が書かれています。

 

「40歳なんて、まだまだ先だ」と思っていると、気がつけば「幹部候補から外れていた」ということにもなりかねません。成長意欲の高い20代、30代のビジネスパーソンにとっては、必読の書と言えます。

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40歳が社長になる日の書評・感想

 

『40歳が社長になる日』の書評

40歳が社長になる日』の書評ですが、経営チーム強化のコンサルティングに携わっている著者らしい視点で、サクセッション・プランニング(次世代リーダーの後継者育成計画)の必要性とその方法を提言した本です。

 

ビジネスの現場では、顧客ニーズが多様化したうえに、商品やサービスによってはカスタマイズできることが新たなニーズになっています。商品やサービスのライフサイクルは短くなり、今や顧客インサイトを悠長に調べている余裕はありません。「共創マーケティング」という言葉に象徴されるように、顧客とともに新たな価値を模索し提供している企業が増えているのが現状です。

 

こうしたビジネス環境のもと、リーダーシップのあり方を含めた現場の対応以外にも、企業が考えなければならないポイントがあります。それが、サクセッション・プランニング(次世代リーダーの後継者育成計画)です。社会情勢の変化が激しく、テクノロジーの進歩が顕著な現代では、10年先を予測するのはむずかしいと言われますが、人材育成は中長期の仕事だからこそ、後継者育成に早くから取り組むことが重要になります。

 

経営コンサルティングの現場に身を置く岡島悦子さんは、『40歳が社長になる日』のなかで、2025年には40歳で社長になる人が大企業にも増えるだろうと語っています。その要因のひとつとして著者が挙げているのが、彼らが「デジタル・ネイティブ世代」ということです。若い頃からスマートフォンやSNSに慣れ親しんできた彼らは、それだけでアドバンテージがあるということです。

 

さて、2025年に40歳になるということは、2017年時点で32歳です。30代で経営者の目線をもつことは、簡単ではありませんが、可能です。社会人向けMBAコースなどで本格的に経営について学ぶというのも有効でしょう。自分が経営者ならどのように企業運営するかを日々考えながら仕事をするのと、目先の業務にばかり気を取られているのとでは、成長の幅に差が生まれるのは当然です。企業側も幹部候補者の育成という視点をもち、若いうちから修羅場体験できるような機会を設ける必要があります。

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『40歳が社長になる日』を読んでみた感想

40歳が社長になる日』を読んでみて、個人的な感想も述べておこうと思います。

 

まず、リーダーシップのあり方が「羊飼い型」に変わってきた点については、大いに共感する部分でした。外部環境の変化によって必要性に迫られて自然と移り変わってきた側面もあるでしょうが、コーポレート・コーチングの観点から有効性が認められると感じたからです。

 

コーポレート・コーチングに関しては、本の内容から逸れるため詳述しませんが、簡単に言うと、人は自分の考えと異なるやり方を押し付けられて「自分らしさ」を感じられなければ生産性が低下します。そのため、求める結果だけを指示して仕事のやり方には口を出さないほうが、結果的にうまく行くのです。

 

また、ダイバーシティの考え方について岡島悦子さんの説明が明快だったので、長年のモヤモヤが晴れました。

 

ダイバーシティ経営とは、多様な属性や価値観をもつ人材活用のことです。その概念は理解できるのですが、現実問題として「だれを」「どのように」活用すればいいのかと考えたとき、明確なイメージをもつことができないでいました。これは、人材の「属性」にフォーカスしてダイバーシティを考えていたことが原因でした。

 

岡島悦子さんは、ダイバーシティを実現すべきは、人材の「属性」ではないことを教えてくれます。それがいったい何なのかは、ぜひ『40歳が社長になる日』を読んでみてください。きっと目からウロコです。

岡島悦子さんの経歴

岡島悦子さんの経歴をご紹介します。岡島悦子さんは、株式会社プロノバの代表取締役社長でありながら、グロービス経営大学院(社会人向けリーダー育成のビジネススクール)の教授や複数社の社外取締役を務めるなど、さまざまな場所でご活躍されています。株式会社プロノバは、「日本に“経営のプロ”を増やす」ことをミッションに掲げて、経営人材の目利きやリーダー育成の支援サービスを提供する会社です。まさに経営の最前線で活躍されており、多くの経営者から絶大な評価を受けています。

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