【書評,感想,要約】5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人 ドイツに27年住んでわかった定時に帰る仕事術

ビジネス書

「あなたの働き方は本当に効率的でしょうか?」

 

 

現在日本社会全体が「働き方」を考えなければいけない時代が到来していますね。しかし、社会そのものが低迷しているとすれば、ロールモデルもいない、ノウハウもないこの状況で、私たちはどのように改革していくのでしょう。

 

 

本書は、ドイツでの労働経験のある著者が、日本との労働環境を比較しています。単に個人レベルの改革ではなく、新たな見え方があったのです。

 

 

「5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人 ドイツに27年住んでわかった定時に帰る仕事術」の書評、感想、要約をご覧ください。
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「5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人 ドイツに27年住んでわかった定時に帰る仕事術」の書評・感想

社会の違い

本書のタイトル、「〜の仕事術」を目当てで本書を手に取る方は、大いにがっかりされる内容です。これはいわゆる近年のビジネス書の落とし穴というか、「売れるキャッチコピー」が蔓延しすぎてしまっているからでしょうが、本書でいう「5時に帰るドイツ人」が行っている仕事術は、個人が意識しているからなし得ることではないのです。

 

 

つまりどういうことかというと、私たちが仕事をする時にどんな気持ちで働くか、上司から何を受け継がれ、何を目的に働くかは、社会・国家の取り組みが大いに関わっているということなのです。

 

 

ですから、はっきり結論を言ってしまえばドイツと日本では「労働に対する社会全体の意識」が違います。落ち着いて効率よく必要な分だけ働くための精度が整っているということなのです。

 

 

正直なところ、「あくまで組織の一員」でいなければいけない日本で、個人が努力できるようなものは見当たらないかもしれません。私が本書を活用するならば、個人レベルで深く理解し、周りがつまづいた時にいくつかのヒントで状況を好転させるくらいに留まってしまうでしょう。

 

 

しかし、これらの状況を理解している人が多くなっていけば、少しづつ状況は変わっていくかもしれませんね。少なくとも働き方を変えたい人はたくさんいるようです。とにかく「日本の現状を詳しく知る」ために、この本に出会ってよかったと思います。

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「5時に帰るドイツ人、5時から頑張る日本人 ドイツに27年住んでわかった定時に帰る仕事術」の要約

要約 -働き方を徹底分析した書-

著者はドイツで働いた経験をもとに、日本とドイツの労働環境の違いに焦点を当てて「ドイツではなぜ短い労働時間で仕事や経済が回るのか」というシンプルな疑問の答えを披露しています。

 

 

ドイツに着任する日本駐在員は、その労働時間の少なさに必ず驚くそうです。日本人の年平均労働時間1719時間に対し、ドイツ人は400時間も少ない上に、一人当たりGDPは30万以上の差があるという事実などを紹介しています。

 

 

働き方改革がクローズアップされているこの時代に、いかに勤務時間を短くし、いかに成果を上げるかを「個人、組織、国家」の観点から詳しく分析したのが本書です。

 

 

働くこと自体を偉い、素晴らしいと思いがちな日本人に対し、ドイツ人は徹底して目的達成のために仕事をするといった違いにクローズアップされています。ひいては国家が労働者を守るために制度を整えているなどといった、「個人では気づかない社会問題」にも言及しています。

 

 

本書はあくまで徹底的な分析の元に執筆されたもので、具体的な対策などではなく「何が原因か」を示してくれる良書となっています。

著者熊谷徹氏の経歴

著者の熊谷氏はドイツに在住するジャーナリストです。早稲田大学卒業後NHKに入局し、ワシントン支局にて数々の歴史的出来事を取材。

 

 

1990年に独立した熊谷氏は、フリージャーナリストとしてドイツのミュンヘンに在住します。ドイツの過去との戦い、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題などをテーマに取材や執筆を続けており、著書も多数あります。近年のものでは『ドイツ中興の祖 ゲアハルト・シュレーダー』(日経BP社)や『日本とドイツ ふたつの「戦後」』(集英社新書)など社会・経済をテーマにした執筆を行っています。

 

 

2007年執筆の『ドイツは過去とどう向き合ってきたか』では年度平和・協同ジャーナリズム奨励賞を受賞するなど、実績を残されました。

 

 

また、自身のホームページでは社会経済に関すて執筆したコラムを紹介するなど、その知識・経験の豊富さや文章の人気などが伺い知れる方です。

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