【書評】MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣(シバタナオキ著)

ビジネス書

決算書を読めるようになろうと思ったとき、たいていの人はまず3つの財務諸表、すなわち「貸借対照表(BS)」「損益計算書(P&L)」「キャッシュフロー計算書(CFS)」について勉強し始めると思います。ですが、勉強したとしても、実際に決算書を見てみると数字の羅列にしか見えない、という人は少なくないのではないでしょうか。

 

わたしは国内MBAを取得したとき、当然アカウンティングのクラスがあるので、基礎知識としてBS・P&L・CFSについて一通り勉強しました。ですが、やはり数字の羅列にしか見えず、面白みはまったく感じられませんでした。
そんなわたしが、決算書を読むことを「面白い!」と感じ、実際に自分でも読めるかもしれないと希望を抱かせてくれたのが、今回ご紹介する本です。

 

『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』
シバタナオキ著
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MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣の書評

では、さっそく『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』を読んでみた書評から書いていきます。

 

まず、この本の一番よい点は、会計に関する専門用語がほとんど登場しないことです。決算書をこれから読もうとしているのに、会計用語が出てこないって、逆に大丈夫?と思うかもしれませんが、これが大丈夫なんです。では、シバタナオキさんはいったいどんなアプローチで決算書を読むのでしょうか。

 

大切なのは、まず最初にビジネスモデルを理解する、ということです。会計の基礎知識を学んでも、決算書が数字の羅列にしか見えない理由はここにあると、わたしは思います。なぜなら、決算書を上から下まで見て勘定科目ごとの数字やその推移を知ったとしても、その数字の大小や伸び率がビジネスにどのように、あるいはどのくらい影響を与えるのかがわからなければ意味がないからです。

 

『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』では、次の5つのビジネスモデルにおける決算について解説されています。

 

第2章:ECビジネスの決算

第3章:FinTechビジネスの決算

第4章:広告ビジネスの決算

第5章:個人課金ビジネスの決算

第6章:携帯キャリアの決算 (書籍より引用)

 

各章には、ビジネスモデルごとに押さえるべき「方程式」と「決算を読むコツ」が書いてあります。そして、何といっても決算書を読む「実演」があるのが一番のおすすめポイントです。会計の勉強をしたにもかかわらず、わたしが途中で断念してしまったのは、実際に企業の決算書を見たときに「だから何なの?」と意味のある解釈を見いだせないのが原因でした。著者が、このビジネスモデルにおける方程式はこうだから、見るべき数字はこれで、計算してみるとこうなり、業界平均と比較してどうか、という一連の流れを丁寧に解説してくれます。こんなに親切な本が他にあるでしょうか!

 

「決算書を読む」というのは、決算短信や有価証券報告書を読むことだけではありません。企業が開示している決算説明会資料などからでも十分に事業の進捗は把握することができますし、そのほうが楽チンです。

 

みなさんもぜひ『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』を参考にして、決算書を楽しんで読んでみてください。

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シバタナオキ(柴田尚樹)さんの経歴と「決算が読めるようになるノート」

シバタナオキ(柴田尚樹)さんの経歴

シバタナオキ(柴田尚樹)さんの経歴をご紹介すると、現在は2011年にシリコンバレーで立ち上げたSearchManの共同創業者です。元は楽天株式会社の執行役員をされていた方で、当時は最年少だったそうです。2009年に東京大学工学系研究科の博士課程を修了し、同年からスタンフォード大学の客員研究員をされています。

 

また、クリエイターが文章や写真、イラスト、音楽、映像などを手軽に投稿できるWebコンテンツ・プラットフォームの〝note(ノート)〟で「決算が読めるようになるノート」を運営されており、今回ご紹介した書籍『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』はこの内容を再構成したものになっています。

 

 

「決算が読めるようになるノート」

「決算が読めるようになるノート」は、一部有料会員向けのサービスとなっていて、月間購読するか個別に購入することができます。アメリカと日本のIT企業のなかで上場している企業を取り上げ、その決算情報から読み取れる内容が独自の視点から解説されていて、とても読みごたえのある興味深い内容になっています。また、ツイッターアカウントもありますので、こちらも要チェックですね。

 

 

本のなかでシバタナオキさんは、決算書を読むうえで大事なのは、1社あたり15分と時間を区切って読むことだと言っています。なぜなら、会計・財務のプロでもない限り、決算書を読むことが本来の業務ではないはずだからです。なので、気になる企業のnote(ノート)を購入して継続して読むのはよい訓練になると思います。

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