【書評・感想】99%の日本人がわかっていない国債の真実

ビジネス書

本書『99%の日本人がわかっていない国債の真実』(髙橋洋一著)は、タイトルにある通り「国債」についての本です。

 

もしかするとタイトルを見ただけで自分には関係ないと思われる人がいるかもしれません。ですが、実は日本国民なら知っておくべき内容が書かれています。なぜなら本書から日本経済、日本という国のバランスシートが見えてくるからです。

 

情報操作やメディアによって不安を煽られても騙されないように、日本経済の本当の姿を理解しておきましょう。

 

『99%の日本人がわかっていない国債の真実』の書評・感想

まずは『99%の日本人がわかっていない国債の真実』の書評です。

 

メディアにコメンテーターとして出演されることもある髙橋洋一氏の著書ということで期待していましたが、とてもわかりやすく書いてあり、金融系の書籍にアレルギー反応を起こす読者にも自信を持っておすすめできる一冊です。

 

一般的に「国債」と聞くと国の借金をイメージします。そのため「国債=国の借金が増えると、国民一人一人の負担が増える」と考えてしまいます。実際にメディアでそのように語られることがあり、それが真実だと思っている日本国民は多いのではないでしょうか。少なくとも私自身は本書を読むまではそのように考えていました。

 

ところが、実はその考えは誤りなのです。借金すること自体がダメなのではありません。髙橋洋一氏は「経済は本質がわかれば、じつにシンプルで公明正大な世界だ」と言っていますが、国債も同様で、その仕組みがわからなければ良いも悪いも何も判断できないことになります。

 

いったい日本のバランスシートはどうなっているのか。国債とはどのようなものなのか。まことしやかに語られるウソに踊らされないためには、本書『99%の日本人がわかっていない国債の真実』は難解すぎず、専門知識のない人たちがその実態を理解しやすく書かれているのでおすすめです。

 

次に『99%の日本人がわかっていない国債の真実』の感想です。

 

ビジネスパーソンなら会社の財務諸表をある程度理解するだけの知識は持ち合わせているかもしれませんが、一国の財政となるとなんだかややこしく考えてしまわないでしょうか。でも、国の経済も根本的には同じなのです。

 

会社であれば、借金はすぐさま「悪」とはなりませんよね。当然バランスシートで無理のない経営ができていれば健全ということになります。このことは国の借金にも当てはまるのです。それがわかると途端に「国債=難解」というイメージは払拭されました。

 

いったん難解なイメージが消えてしまえば、あとは興味のおもむくまま理解していくだけ。あまり詳しいことは書いてありませんが、国債を通して日本経済の全貌を掴むにはちょうど良いと感じました。

 

『99%の日本人がわかっていない国債の真実』の要約

99%の日本人がわかっていない国債の真実』の内容を簡単に要約してご紹介しましょう。

 

まず第1章では、国債に関する基礎的な内容が書いてあります。国債の本質は企業の借金と同一であること、国債の売買の仕方、日銀の役割などです。

 

第2章は「世にはびこる国債のエセ知識」についてです。実は日本のバランスシートを見れば国債発行において何も問題がないことがわかるのですが、そうした知識もなく議論してしまうと「借金=悪」という間違った考えに同調してしまうことになりかねません。ここでしっかりと理解しましょう。

 

第3章は日本経済の「本当の姿」についてのお話です。メディアから「財政破綻」という言葉を聞くと不安になってしまうものですが、何にも心配する必要のないことがわかります。むしろ常に増税したい財務省の思惑が透けて見えてくるので、舞台の裏側を垣間見るような面白さがあります。

 

第4章では「国債と税」というテーマで、マクロ経済を考える上で重要な姿勢や金融政策の仕組み、災害復興の財源確保のもっとも良い方法などに言及しています。財務省の「増税ロジック」に乗せられないための基礎知識が得られますよ。

 

第5章は「国債と投資」と題して、著者には珍しく投資入門的なことが書いてあります。国債は金融商品の「プレーンバニラ」のようなもので、基本的なバニラにフレーバーを追加していくように国債にも要素を足していくと株や社債などの金融商品が理解できます。ベースとなる国債についてやさしく解説してありますので入門書代わりに読んでみてください。

 

髙橋洋一氏の経歴

髙橋洋一氏の経歴を簡単にご紹介します。

 

1980年に大蔵省(現・財務省)入省後、大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)等を歴任されてきました。小泉内閣・第一次安倍内閣のブレーンとして、「霞が関埋蔵金」の公表や「ふるさと納税」「ねんきん定期便」などの政策を数多く提案し実現してきた人物です。2008年に退官されています。

 

著書には、『バカな外交論』『バカな経済論』『【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で「21世紀の資本」は読める』『【図解】地政学入門』『【図解】経済学入門』(以上、あさ出版)、第17回山本七平賞を受賞した『さらば財務省!官僚すべてを敵にした男の告白』(講談社)などのベスト・ロングセラーが多数あります。

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