【書評,感想,要約】つながりをリノベーションする時代

ライフスタイル

みなさんは、現代の若者が抱える問題について考えたことはありますか?

 

この本はとっつきにくい社会学を、複数の著者の文を掲載することで多角的に勉強することができる書です。副題は『[買わない][恋愛しない][働けない]若者たちの社会学』。若者と社会学を結びつけて多くのことが考察されています。

 

みなさんは大学で、社会学を学んだことがあると思いますが、多くの方が大学教育までで終わりになってしまうと思います。

 

現代の『つながり』を取り巻く社会学、学びなおして見ませんか。

『つながりをリノベーションする時代』の書評、感想、要約をお伝えします。

「つながりをリノベーションする時代」の要約まとめ

 

著者の経歴

本書の著者は、帝京大学にて社会学を教える田所承己氏、同じく帝京大学で准教授をされている菅野博史氏をはじめとする、11名の文が編集され掲載されています。11名はそれぞれ社会学に精通しており、それぞれの個性を生かした文章を寄せています。

 

田所氏は社会学の他に情報・メディア論、都市論などを専門とし、編著に「(つながる/つながらない)の社会学 ー 個人化する時代のコミュニティのかたち」があります。SNSと現代人の「つながり方」を考え、コミュニティとは何かを論じたものですが、多くの著者の文を編集する手法でわかりやすく社会学を伝えています。

『つながりをリノベーションする時代』要約まとめ

全体は、つながりと称する第1部、働くことに関わる第2部、現代の課題への取り組み第3部、地域で生きる第4部、現代の常識を考え直す第5部、未来に関わる選択を考える第6部で構成されています。

 

様々な論点で社会学が展開していきますが、「若者」にフォーカスした論に数章が割かれており、この本が「若者」を主に対象にしたものであることがわかるでしょう。

 

すべての項目でまとめ、演習課題、読書案内が付けられており、学習者が本書を読み終えた後にも学習を続けられるようにたくさんの情報が与えられています。

「つながりをリノベーションする時代」の感想書評

AIと人間との関係をどう考えるか?

みなさんは「人工知能によって必要なくなる仕事」のようなコンテンツを見たことがあると思います。また、人工知能が将棋や囲碁で次々とプロを打ち負かす姿を報道しては、危機感を覚えたり頼もしく思ったりしていますが、そういった姿勢はAIとの関係を考える上では間違っているとしています。

 

この問題は、未来について書かれた第6部に掲載されています。「人間と機械」を引き合いに、どんな時代を迎えているかを考察した第12章では「テクノロジーが発展していくことが、人類の幸福につながっているのか」が語られます。

 

AIに勝つのか、負けるのかといった選択肢からは、人間のできることがなくなるか、技術の進歩が止まるかどちらかしか訪れないため、現実的でないというのです。人間は機械で何を実行したいのかを考えることが現実的な捉え方であるといいます。

 

現代では、報道などで価値観の統一が自然に行われてしまうため、こういった考え方をしたことがある人は非常に少ないのではないでしょうか。このような視点を知ることができるのは、社会学を詳しく考察した書物ならではのものでしょう。

さまざまな視点から

また著者は、AIに関する分析を「あえてネガティヴな視点で行った」とした上で、”社会学の勉強を進める上で、ポジティヴに捉えるだけでは不均衡になる”と述べています。さまざまな側面から社会を思考することで本質を見極めることができるということですね。

 

視点が偏らないような、さまざまな配慮は随所に確認することができます。例えば、田所氏が自分の文章だけでなく、複数の人物に寄稿してもらっている点もそういった配慮でしょう。

 

各分野に精通した著者が、それぞれの個性を活かした論理を展開するのが本書です。それぞれの著者は論文のような文章ではなく、あくまで多くの人が理解できるものを目指しています。非常に読みやすいため、複雑になりやすい社会学への理解が進むでしょう。社会学を学ぼうとする学習者には興味深い一冊になっているはずです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました