お金を増やすことを目的にした人はオススメしない
リチャード・テンプラーのRulesシリーズを既に読んでいる人は、本のタイトルに驚いたと思います。人生を充実させるためのヒントを、ゆっくりしたテンポ感で語りかけるように書かれたものがRulesシリーズです。そのシリーズの一つとしては、ずいぶん卑しいタイトルではないでしょうか。
しかしお伝えしたいことは、この本も紛れもなくRulesシリーズの一つであるということ。「お金の増やし方」の文字で本書を手に取った人には面食らうであろう内容が記されています。リチャードはこの異色のテーマを、どのように「Rulesシリーズ」にしたのでしょうか…?
リチャード・テンプラーの経歴、wikiから
リチャード・テンプラー氏は、旅行代理店、スーパーマーケット・チェーン、レストラン、カジノ、大学自治会など、幅広い分野で30年を超えるマネージャー経験を持っています。2003年に出版社White Ladder Pressを創設し、わずか4年で「イギリスで最も成功した出版社」と呼ばれるまでに育て上げました。
イギリスで生まれ、全世界に広まったRulesシリーズ
リチャードテンプラーの「Rulesシリーズ」は、全世界で170万部出版されたものです。この「人生のルール」は、そのひとつです。2002年に初版が発行されてから、人気が出たことにより再版を繰り返しながらベストセラーとなりました。
すべての本で、100の項目からなるお金や人生、仕事において成功する方法を記されています。1つの項目は2ページにおさめられており、イギリス英語を用いていることなどから独特な雰囲気があることで人気です。
「the rules of money できる人のお金の増やし方」の書評・感想
Rulesシリーズ「らしさ」が発揮されているのは、冒頭からです。
「お金、お金、お金…..。みんなお金のことばかり考えている」
そう言いたくなる時があるかもしれないが、その認識は間違っている。お金がいらない人などいないが、ほとんどの人が考えているのは、お金そのもののことではないからだ。ー誰もがお金に必死になるのは、”お金で手に入ること”のためだ。
Rulesシリーズらしく、人生で大切で普遍的なルールに結びつけてきました。この冒頭文から始まり、本書は「お金をどう増やすか」ではなく「お金にどう関わるか」という論を展開しています。
もちろん、貯金や投資など当たり前のことも書いてありますが、冒頭の大前提はぶれません。
全116のルールのうち50の項目で「お金持ちへの道を進むルール」が記されています。例えば「お金のためではないように働く。」
一見お金を否定しすぎではないかとも思いましたが、読み進めると疑問は解決します。自分がやりたいことを情熱を持って仕事にしていれば自然とお金は集まってくるということです。
あなたにとって「お金がもらえなくてもやりたいこと」はなんだろうか。
太字で端的にポイントを指摘して、読者をハッとさせるのはリチャード流です。もちろん、具体的にお金を増やす方策ではありません。しかし、疑問を提示されることで私たちが考えるきっかけになるはずです。
「the rules of money できる人のお金の増やし方」の要約まとめ
考えるきっかけを与えてくれるメンタル本
残りの50項目で、他人との関係の中でどのような選択を取るかのルールが示されています。得にルール59「お金のアドバイスにお金を払う」は面白いです。
一見すると、単にコンサルティングを受けろという提案かと思いきや、それだけにとどまりません。
お金のアドバイスが必要な時に、頼るべき人は2種類いる。まずは専門の知識を持ったプロだ。
ー もう1種類は、本物のお金持ちだ。
ー お金のアドバイスを望めるのは、以上の2種類の人だけだ。それ以外の人、例えば、友人、家族、善意の知人、テレビ番組、インターネット情報、大手金融機関を頼ってはいけない”
専門知識を持っていても、自分の身になるように提供してくれなければ、信頼してはいけないといいます。また、毎回きちんと自分の目で判断する必要があるとも述べています。
繰り返しになるが、具体的な方策を示されるわけではなく、読むことで考えるきっかけをくれるのがRulesシリーズです。
抽象的な表現も多く、初版が出版されてから時間も経っています。最新の自己啓発本やビジネス本と比較したら、優先順位は下がるかもしれません。
それでもこの本が与えてくれるのは、エッセンシャルなヒントと、自分で考えるという機会です。これからの時代に、真に充実した人生を送るために最も重要な経験なのかもしれません。
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