現代の情報操作を読み解く!『現代版 魔女の鉄槌』の内容や書評

未分類

現代版 魔女の鉄槌』(苫米地英人著)は、中世ヨーロッパにおいて長らく行われた【魔女狩り】に関連したある警告本です。単に魔女狩りの歴史的史実に終始した内容ではありません。本書は、序章および第1章から第6章(まえがき・あとがきを除く)で構成されていますが、小見出しはなんと合計100項目もあります!それだけ本書にはトピックスが盛りだくさんで、「へぇ〜、知らなかった!」と驚かされる内容ばかり。きっと本書を手に取れば、あなたの知的好奇心が刺激され、先へ先へとページをめくる手が止まらなくなることでしょう。

 

それでは、『現代版 魔女の鉄槌』(苫米地英人著)の気になる内容書評をご紹介していきましょう。

 

『現代版 魔女の鉄槌』の内容

現代版 魔女の鉄槌』の内容は、そのタイトルにあるとおり【魔女狩り】に端を発しています。【魔女狩り】とは、主に中世のヨーロッパで起こった社会現象をいい、魔女や魔術行為を行なったとされる被疑者は拷問にかけられるなど徹底的に弾圧されました。いったいなぜこのような残虐な行為が長期間にわたって行われることになったのでしょうか。その背景には、印刷技術の発明と『魔女に与える鉄槌』の出版がありました。

 

『魔女に与える鉄槌』は、ドイツの異端審問官のハインリヒ・クラマーとヤーコプ・シュプレンガーが書いた書物です。それは魔女狩りの大流行において大きな役割を果たしました。そこには、魔女像の定義や魔女およびすべての異端者に対する裁判の方法などが620ページ余りにわたって詳細に記述されており、いわゆる魔女裁判のマニュアル本とも言えるものでした。

 

時代を同じくして、ヨハネス・グーテンベルクによって活版印刷技術が発明されていました。印刷技術──これこそが【新しいメディア】の登場でした。著者は、人は印刷出版された本の内容をその真偽の検証をすることなく信頼する傾向にあるとして、印刷本として世に広く出回ることになった『魔女に与える鉄槌』も当時の人たちに大きなインパクトを与え、魔女の存在を強烈に印象づけたと見ています。

 

本書における著者・苫米地英人氏の主張は、【新しいメディア】の登場による現代の【魔女狩り】に気をつけろという警告です。

 

現代における【新しいメディア】と言えば、ツイッターやフェイスブックなどのSNSですね。特にツイッターは匿名での投稿が可能なため、発信元の信頼性がわからないまま日々膨大な量の情報に触れています。ですが、繰り返しツイートされた内容を見ていると、いつの間にかそれが事実であるかのように感じてしまいます。

 

このようなツイッター効果は、テレビの演出でも利用されているようです。たとえば、出演者2人が青森県で栽培されたりんごについて収穫時期の違いや糖度の話をしているところに、ふいに3人目が割って入って「さっき食べたら、すごくおいしかった」とコメントをします。すると、視聴者はそのりんごがおいしいのだと思うようになるということです。

 

しかも、この手法はテレビの演出だけでなく、政治的批判においても利用されていると指摘しています。活字化された情報やSNSで発信された情報を手放しで受け入れていると、いつの間にか権力者たちの情報操作によってわたしたちの判断が左右されるという事態になりかねません。本書はそのことを警告してくれます。

 

『現代版 魔女の鉄槌』の書評

次に『現代版 魔女の鉄槌』の書評です。前述のとおり、本書は【魔女狩り】という中世ヨーロッパの残虐な社会現象をテーマとして取り上げています。それを機能脳科学者ならではの視点から捉えて、現代における情報操作や情報統制を読み解くアプローチとしています。

 

たとえば、テレビ番組は視聴者のためにつくられていません。誰のためにつくられているかというと、番組制作費を出してくれるスポンサーです。これはテレビ局を一企業として見たときに、当然そうなるだろうと納得感があります。このことは他のメディアにも言えることです。情報の発信者は、発信者自身に有利な情報を流すものです。(もちろんすべてがそうだとは言いませんが。)

 

ただ、このことを念頭において情報に接するのと、まったくの無防備で接するのとでは、権力者などにいいように操られて洗脳される危険性は天と地ほどの差が出るでしょう。

 

「2017ユーキャン新語・流行語大賞」では、「フェイクニュース」がトップ10入りしたそうですね。SNSが台頭してその勢力が一通り拡大した今になってようやく情報に対する警戒が始まったのかもしれません。

 

最後に、本書で得られる知識は一般的に知られた歴史的事実にとどまらないことを書き添えておきます。当時の魔女狩りが大流行した背景や時の権力者の企み、世界三大発明の一つである印刷技術が重要な役割を果たしたくだりは、まるで犯罪の一部始終を暴くドラマを見ているような興奮を覚えます。その他にも、キリスト教の本当の開祖はパウロではなかったことや、現代に伝わる聖書はある権力者によって都合よく編纂されたものであること、魔女狩りが流行しなければならなかった必然性など、わたしたちの知的好奇心をくすぐるトピックスが目白押しです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました