『すごい立地戦略』の例やコンビニが近場に移動する意味、書評について

ビジネス書

一消費者として「ここにコンビニがあったら便利なのになぁ」と思っていたら、本当にコンビニができた!という嬉しい偶然に遭遇しました。みなさんもそんな風に思うことはありませんか?

 

今回の本は『すごい立地戦略』(榎本篤史著)です。さまざまな業界における店舗開発がどのように行われているのか、その戦略を実とともに紐解いていきます。コンビニがいつの間にかあっちからこっちに移動していた意味も知ることができます。本書の書評とともにお楽しみください。

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『すごい立地戦略』の例とコンビニが近場に移動する意味とは

すごい立地戦略』では、大きく分けて「ロードサイド店舗」「コンビニ業界」「飲食店」「立地にこだわる必要のない業態」から実が紹介されています。立地の戦略立案に携わったことのない素人でも容易に推測できるものから、なるほど!さすが!と感心するものまであります。

 

それでは、本書で紹介されている実を少し見てみましょう。

 

  1. 人間心理が集客の決め手!ロードサイド店舗

ロードサイド店舗というのは、都市郊外の幹線道路など通行量の多い道路沿いにある店舗を言います。駅前の店舗と比較すると、決定的に違うポイントがあります。そう、お客様の来店方法が異なりますね。駅前の店舗に来るお客様はたいてい徒歩で来ることが予想されますが、ロードサイド店舗に来るお客様は主に自動車で来店します。

 

自動車で来店するお客様がメインターゲットとなれば、いくつか考えなければならないポイントがあります。たとえば、「運転中にドライバーから見て店の看板は見やすい位置にあるか」「運転の苦手な女性でも入りやすい設計か」「駐車スペースは十分にあるか」「駐車スペースは駐車しやすくなっているか」などです。

 

具体的には、ファミリー層向けのチェーン店では、子どもと一緒にお母さんが車を運転して来店することが予想されます。女性のなかには「右折嫌い」という人が少なくないようです。すると、対向車線をまたぐ必要がある場合、運転の苦手な人はこの店舗を敬遠するようになってしまいます。ですが、道路のセンターラインに「導流帯」というスペースがあると、ここに一時停車して曲がるのを待つことが可能です。

 

こういうちょっとした人間心理を読んで、どこに店舗を構えるかを考えるのが、ロードサイド店舗における立地戦略となります。

 

  1. 飽和状態で競争激化のコンビニ業界

本書によれば、コンビニエンスストアは全国に6万店舗もあるそうです。すでに立地条件のいい場所にはいずれかのコンビニが出店していて、もうこれ以上はどうにもできないだろうと素人には見えます。しかし、そうした飽和状態のなかでも常に〝いい立地〟を求めてスクラップ&ビルドをしているのが、この業界のようです。

 

コンビニのなかでも特筆すべきは「セブン-イレブン」です。ついこの間まであっちにあったセブン-イレブンが、道を挟んだこっち側に移ってきた!なんてことを目撃したことはありませんか?不思議ですねぇ。でも決して出店ミスをしたわけではありません。ちゃんと意味があったんです!

 

セブン-イレブンの店舗開発は「場所は捨ててもエリアは捨てない」というスタンスを徹底している点に特徴があるそうです。店舗出店においては十分に検証を重ねて、その場所できちんと採算が取れると判断できたエリアに出店します。ここまでは通常の経営判断と言えそうですが、セブン-イレブンがすごいのは、同じエリア内でより大きな売上が見込める物件があれば、すぐさま店舗を移すことです。このようにセブン-イレブンは、常にいい立地を探し続けることを徹底する立地戦略を取っています。
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『すごい立地戦略』の書評

最後に『すごい立地戦略』の書評です。本書の内容は、もしかすると店舗開発に携わっている人には当たり前のことかもしれません。しかし、店舗開発とは縁のないわたしのような人間にとっては、経営戦略の舞台裏を垣間見た気がしてとても興味深い内容ばかりでした。

 

特にコンビニは、かなり近距離で場所を移動するケースを見るにつけ、何があったんだろうと不思議に思ったものでした。本書で紹介されたセブン-イレブンの話を読んで、「なるほど、そういうことか!」と納得するとともに、なぜあの場所ではダメだったのかを考えると、ビジネスに役立つ視点が身につきそうです。

 

また、ここでは紹介しませんでしたが、オフィス街にある飲食店がかなり短期間で入れ替わり立ち替わりしている謎も解き明かされます。もし将来、飲食店経営を夢見ている人がいれば、本書をぜひ参考にしてみてください。オフィス街と繁華街に出店するときの違いや沿線ごとの「街の性質」など、吟味するべきポイントが書いてあります。

 

もちろん単なる興味として読んでも楽しめる本ですので、ぜひこの『すごい立地戦略』を読んでみてください。

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