発売前から各所で話題となっており、本書は発売後わすか6日で10万部を突破したそうです。
絵本『えんとつ町のプペル』を手掛けた絵本作家としても有名の西野さんですが、今では他にも肩書きはいくつもあり多彩な才能を発揮しています。
そんな西野さんが考える広告戦略、そしてお金の未来について書かれている内容となっています。
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革命のファンファーレの感想・書評レビュー
革命のファンファーレのはじめには無料公開されている
本書『革命のファンファーレ』の冒頭である、「はじめに」は西野さんのブログ「魔法のコンパス」にて無料公開されています。また、無断転載を認めており、他のサイトに拡散しても構わないとのことです。(※そのため、本サイトでも次の見出しにて転載。)
その意図は何でしょうか。それは、絵本『えんとつ町のプペル』で得たノウハウが元になっていると考えられます。
『えんとつ町のプペル』は発売が開始後しばらくしてから、ゲリラ的にとあるサイト上にて無料公開されました。それも内容の一部ではなく、全文が公開されたのです。いわば、内容がネタバレしてしまっているということです。
絵本に関して追えば、価値があるのは内容の部分です。その全てを無料で誰もが見ることができるようになってしまうと、絵本が売れなくなってしまうのではないか。
多くの人々がそのように考え、批判の声はインターネット上を飛び交いました。身の回りの編集者たちや知人からも同様の声が聞こえてきたといいます。
しかし、無料公開の理由には著者の策略があったのであす。詳しくは、本書を手に取ってご覧いただきたいですが、そこには絵本ならではの理由がありました。
絵本を買うのは子供を持つ親が多いです。子育て中の親は総じて生活の大半が育児にあてられ、時間に余裕がありません。
そのため、絵本を買う際は中身をいちいち確認する時間も惜しいため、自分が過去に読んで良かったものを子供にも買ってあげることが多いといいます。そのため、絵本のベストセラーには、出版日がずいぶん昔のものが多いそうです。
また、子供を持つ親は使えるお金も限られています。そのため、絵本を買う際のポイントとなるのが「ハズレを引かない」ことです。
つまり、せっかく買った絵本を無駄にはせずに、長く読んでいける内容の絵本を求めているのです。
著者がリサーチしたところによると、絵本を買う人の背景には上記のようなことがあるとわかりました。そこで、それらの問題を解消する売り方として考えたのが、無料公開だったのです。
親たちは内容を一度インターネット上で読んでもらいます。そこで、内容が良かったと感じてもらえれば、絵本の購入に繋がると考えたのです。
パソコンやスマートフォンの画面上では、子供に読み聞かせることができないという絵本ならではの特性を生かしたものでした。
考えてみればたしかに納得させられる理由で、西野さんならではの視点だと思いました。
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「革命のファンファーレ」のはじめに全文を無料公開
先にお伝えした通り、「革命のファンファーレ」のはじめにを全文転載。
『はじめに』
「やりたいことが見つからない」と言う若者が多い。
これを読んでいるあなたも、もしかしたら、その一人かもしれない。
そして、大人はあなたを指して、「ゆとり世代」だとか、「さとり世代」だとか、「草食」だとか云々かんぬん。
自分達に比べて、まるで最近の若者は”人としての能力が低い”といった扱い方をする。
ただ、
「最近の若いヤツは…」という苦言は、それこそエジプトの壁画に象形文字で書かれていたぐらいで、人類誕生時から今までずーっと言われ続けている。
もし、その言い分が正しければ、理論上、人類なんて、とっくに絶滅している。
スケールダウンを繰り返している生物が生き残るわけがない。
だけど、僕らは今日も生きている。
時代や環境に合わせて、アップデートを繰り返してきたからだ。
動物であろうと、植物であろうと、いつの世も種として優秀なのは”年下”で、これは抗いようのない自然界のルールだ。
若者世代への批判は、そのほとんどが”進化の乗り遅れ”に他ならない。
だから僕は年下を肯定するところから考えるようにしている。
そのことを踏まえた上で、正直に言うと、「やりたいことが見つからない」というのは当初まるで理解できなかった。
僕は小学2年の頃に芸人に憧れて、そのまま今まで来ちゃったので、余計に。
「なんで、やりたいことが無いの?」と思っていた。
ただ、「やりたいことが見つからない」というコトを肯定するところから考えてみると、なるほど、理解ができるようになった。
ようやく年下の背中が見えてきた。
こんなことを言うと先輩方から怒られるかもしれないけれど、僕より上の世代は、僕より下の世代ほど「職業に寿命がある」という体験をしてこなかった。
多くの大人は「職業は延々に続く」という前提で話を進めてくる。
だから、すぐに、「お前は何屋さんなんだ!?」と肩書きを付けたがる。
それに比べて、今は違う。
スマホの登場以降、職業が無くなる場面をたくさんたくさん見てきただろう?
Amazonに潰された本屋さんを見てきただろう?
「ロボットタクシー」という言葉が飛び交っている今の時代に、「タクシードライバーになりたい!」という発想にはならないだろう?
15年前は「タクシードライバーという職業が無くなるかもしれない」なんて想像もしなかった。
20年前は、日本の本屋さんが1日に1件潰れていくことなんて想像もしなかった。
明日には、どの職業が無くなっているかも分からない(これからの)時代は、副業、兼業、転職が当たり前になってくる。
上の世代の人達は、職業をたくさん掛け持つことを「結局、何がやりたいんだ!一つに決めろ!」と咎めてくるけれど、どっこい、
やりたいことを掛け持つことや、やりたいことに迷うことは、これからの時代を生き抜く術だよ。生き物が生き残ろうとして何が悪い?
今の時代に「◯◯になる!」と肩書きを1つに決め込む方が、よっぽど危険だ。
「やりたいことが見つからない」は、悪いことでも何でもない。
肩書きが猛スピードで無くなっていく時代にキチンと対応できている証拠だ。。
「アッチがダメなら、コッチだ!」と、肩書きを移動できる準備ができているわけだ。
周りはとやかく言ってくるかもしれないけれど、肩書きを一つに絞れずに肩身の狭い思いをしているあなたは大丈夫、何も間違っちゃいない。
具体例を挙げる。
僕は去年、『えんとつ町のプペル』という絵本を発表したんだけれど、この作品の制作に費やした時間は4年半だ。
これは、芸人としての収入があったから可能だったわけで、絵本作家一本で活動していたら、4年半も収入が途絶えてしまうような作品には手を出すことはできない
これまでの常識に従っていたら、生まれてこなかった作品だ。
革命のファンファーレは鳴った。
農業革命よりも、産業革命よりも、大きな革命が、よりによって僕らの時代に直撃した。
情報革命だ。
インターネットにより距離や時間が無くなった。当然、距離や時間に結びついていたいくつかの仕事も無くなる。
物の売り方が変わり、働き方が変わり、お金の意味が変わり、常識が変わり、道徳が変わっていく。超高速回転で。
そして、残念なことに、経験したことを僕らに教えてくれる存在であったハズの親や先生は、この革命を経験していない。
たとえば、あなたの親は、あなたにこんなことを言うだろう。
「好きなことをして生きていけるほど、世の中は甘くない」と。
親世代のお金は”ストレスの対価”だ。
ところがとうだ?
ストレスがかかる仕事から順にロボット化されていき、ストレスがかかる仕事がみるみる世の中からなくなっていくではないか。
自動改札機が生まれ、改札口から駅員が姿を消したような変化が、今アチコチで起こっているではないか。
好きでもない仕事は消え、好きなことしか残らなくなってきている。
ここからは、好きなことを仕事化するしか生きていけない時代だ。
彼等は、この変化を捉えていない。
彼等は、この大波の乗り越え方を知らないのだ。
したがって僕らは自分自身の手や足を使い、僕らの身の回りに起こっている変化を、学び、実践し、思い知り、対応していかなければならない。
この変化から目を背けた人間から脱落していく。
既得権益を守り始めた人間から終わりが始まる。
頑張れば報われる時代は終わり、変化をしなければ生き残れない時代に僕らは立ち会っている。
面白いじゃないか。
変化しなくても良かった世代の常識との衝突もあるだろう。
あなたが革新的な動きを見せれば、そこには確実に議論が巻き起こる。
その時、これまでの常識に根をはっている連中は、あなたの提案の本質を知ろうともせず「炎上商法」という言葉で片付けようとする。
必死になって「炎上=悪」という印象操作をし、そして、批判の声はあなたに集中する。
単純に彼等の理解が追いついていない場合もあるが、そこに発生する批判のほとんどは「変化することに対する恐れ」だ。
それならば、そんな批判は甘んじて受けようじゃないか。
変化しなければ生きていけない時代なのだから。
何が必要になり、
何が不必要になったのか?
どの職業がなくなり、
とんなことが、これから 職業となるのか?
1つずつ整理し、対応していこう。
常識のアップデートを止めてはならない。
僕は学者じゃないので体験談を話す。
この1年間の自分の活動の成功と失敗を、数字を交えて皆様にお話する。
ちょうど一年前に出版したビジネス書『魔法のコンパス ~道なき道の歩き方~』の発行部数は10万5000部。
絵本『えんとつ町のプペル』の発行部数は30万部。
オリコン2017年上半期”本”ランキングでは、児童書部門とタレント本部門の2冠を達成。
『えんとつ町のプペル』を作る際のクラウドファンディングは2度実施して、支援者数が9550人。支援額が5650万4552円。
これまでのクラウドファンディングの支援総額は国内歴代最高記録となる1億円を突破。
個展『えんとつ町のプペル展』の動員数は60万人を突破。
これだけ見れば順風満帆だが、どっこい、失敗が可視化されていないだけで、キチンと失敗もしている。
その成功や失敗には、マグレも不運も存在しない。
成功と失敗の裏にあるのは、理由と原因だけだ。
それらを見ていきながら、今後僕らは、どのように身をふっていれば時代を捉えることができるのか?
これから、僕の実験と結果と対策を全てお話しようと思う。
しばし、お付き合いください。
いかがでしたでしょうか。
かなり引きつけられ、続きを読みたくなる文章だと感じます。
私はそのように感じました。
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西野亮廣は天才マーケッターなのかもしれない
絵本『えんとつ町のプペル』を広めるのには、クラウドファンディングが使われました。知名度がある芸能人が参入しても、失敗することも多いクラウドファンディングですが、西野さんはプロジェクト賛同者数の表示のさせ方にこだわり、信頼性を向上させました。
今後の社会は、お金よりも信用が重要になると考えていたからです。
「好感度が低い」という世間での認知のされ方をしている西野さんですが、他方では一定の固定ファンが多くいます。誰人にも好かれ波風が立たないことよりも、好きな人もいるし嫌っている人もいる、というような状況こそ現代の広告戦略だというのです。それによって、認知度が高まることに繋がってくるからです。
一見すると世間から受け入れられなかったり、反感を持たれるような言動を行動をする背景には、計算高い部分があったのだと垣間見ることができます。
絵本の売り方に関して、これまで誰もしてこなかったやり方を確立し、実践してきた西野さんには他ジャンルからも注目されているのにも頷けます。
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