「人生って、なんだか疲れる・・・」
こんな風に感じている人には『簡素な生き方』(シャルル・ヴァグネル著)がおすすめです。もしかすると自分の心が望んでいることにあなた自身が気づけていないのかもしれません。雑事や雑念にクタクタになる前に、余計なものをそぎ落として、シンプルで身軽になってみてください。
それでは、『簡素な生き方』(シャルル・ヴァグネル著)の書評と感想をどうぞご覧ください。
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シャルル・ヴァグネルの簡素な生き方とは
「簡素な生き方」というタイトルからは、贅沢をしないで質素につつましく生活しなさいと言われるのかなと想像しがちです。しかし、シャルル・ヴァグネルが言う「簡素」というのは、決してお金をかけないという意味での質素さではありません。もっと根源的な、究極的にシンプルな心のあり方を指しています。
シャルル・ヴァグネルは、簡素であることを「自分の望みや行動を自分の心の掟と一致させること」だと表現しています。「掟」という言葉は、ちょっと仰々しい感じがしますが、信念というか、自分のなかに一本スッと軸が通ったような、そんなイメージをもってもらえればいいと思います。
そしてその心の軸は、物質的な豊かさや社会的地位、身分、富の量などを評価軸にするような、表面的な幸せにとらわれてしまうものではありません。むしろそういったものを自分の心のなかから排除することで、本当の人生の楽しさを実感できるのだと教えてくれます。ただし、お金持ちが全員簡素な生き方ができていないというわけではありません。十分な富をもっている人でも十分に簡素な生き方はできるのです。
たとえば、毎日の食事や住む場所、着る服などに困っていない人が、もっと美味しい食事をするにはどうしたらいいか、もっといい暮らしをするにはどうしたらいいか、もっときれいな服を買うにはどうしたらいいかと悩んでいることが「雑事」に過ぎないとシャルル・ヴァグネルは言います。お金があるほど必要なものが増えていったり、失業したときのことを考えて不安になったり、私たちはわざと人生を複雑なものにしてしまっているのです。
本書が執筆された120年前に比べると、現代の物質的な豊かさとは雲泥の差があるでしょう。では、人々が比べものにならないほど幸せになったのかというと、そうでもなさそうです。名誉とかお金とか地位とか人気とか、私たちに本質的な幸福をもたらさない小さな野心を棄てる勇気をもったとき、生きていることを実感し、生きる楽しさを感じることができるのです。
生きることは、実はとってもシンプルなんです。
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『簡素な生き方』の書評・感想
まずは『簡素な生き方』の感想からです。
最初に『簡素な生き方』を読んだとき、120年前に書かれた内容が現代に通じるものがあるなんて、人類ってなんて進歩がないんだろうと思いました・・・
今の時代でも金銭的な裕福さが必ずしも幸福感と一致しないことは、薄々は気づいています。そういうことを言う人は少なくないと思います。ですが、日々の慌ただしさのなかでそのことを忘れたり、テレビCMなどの影響で物質的な豊かさが人生の充実感につながるんじゃないかと思わされてしまうことがあります。
シャルル・ヴァグネルが「心の掟」と表現したように、それを常に忘れない努力をしていないと、人間はうっかり易きに流れてしまう生き物なのかもしれません。
次に『簡素な生き方』の書評ですが、一読目はもしかすると正論を聞かされているような気持ちになるかもしれません。「雑事にばかり心を砕かない」とか「表面的な満足を追求するな」とかたいていの人が納得してしまいそうなことが書いてあるからです。
しかし、時間をおいて何度か繰り返し読むと、次第にじっくりと味わい深くなり、斜に構えて読んだときには見えなかった要素が見えてきます。自分の人生と照らし合わせて読んでみると、人との付き合い方が変わったり、新しい未来の方向性を発見できるかもしれません。
シャルル・ヴァグネルの経歴とは
最後にシャルル・ヴァグネルの経歴についてですが、シャルル・ヴァグネルは100年以上も前に生きたフランス人牧師です。近代フランス初等教育において月謝をなくし、義務教育として確立させた教育家でもありました。著書には『正義』『青春』『剛毅』『生きるすべを学ぶために』(いずれも邦訳なし)などがあります。
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