本書を手に取る人の多くは、少なからずコミュニケーションに不安を感じる人、苦手を感じている人ではないでしょうか。
著者の斎藤孝氏は、長年教育現場で日本語を取り巻く様々な事柄を研究してきた方です。本書は、「論理的な話し方のスキル」がただ羅列されているものではなく、「論理的とは?コミュニケーションとは?」が整理されたものです。悩みを持つ方だけでなく、コミュニケーションが不可欠な生活を送っている方が話し方をトレーニングできる内容でした。
それでは、『論理的な話し方の極意』書評感想要約をご覧ください。
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「論理的な話し方の極意」の書評・感想
本質的、論理的に話し方をトレーニングする
これは著者が取り上げた、論理的に話すスキルの一節です。
ただ、これだけでは何をいっているのかわからないでしょう。
話し方には「本質的、非本質的」が存在します。
「本質的な話し方」とは、物事の本質を表した「一言」だけを発することにより、相手に瞬時に正確に多くの情報が伝えられるというものです。幸いこの論を目にしたとき、自分の人間関係で「本質的な言い方をする人」が数名思い当たったので、非常にクリアに伝わってきました。
著者は、話し方とは「本質的・非本質的」でありながら「論理的・非論理的」であるといいます。
つまり、言葉数少なに伝わりやすい言葉選びをし、論理的に順序立てて解説された時に「最も人に伝わりやすい」と言いたいのです。もちろん、「非本質的であり論理的」などもありますね。
筋は通っているが、まどろっこしい言い方で結論がわかりづらい、などです。
この説明をするとき、グラフや表を用いてあえてすべてのパターンを説明しています。
これらから推察するに、読者の皆さんが論理的話し方をマスターしても「論理的でない人はたくさんいる」ということではないでしょうか。
コミュニケーションは、人と人との思想の違いをいかにクリアにし、お互いに理解しつつ共存するかにあると思います。
その上で、「相手が論理的ではない場合」を想定できているかどうかは、雲泥の差があるでしょう。
著者はあえてたくさんの思考パターン、また話し方のスキルの優劣を示すことで、こういった状況を想定できるような思考回路を持っておくことをオススメしているように思えてなりません。
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「論理的な話し方の極意」の要約
要約 -コミュニケーションスキルを向上させる-
自分のアイデアを十分に相手に伝えるためのスキル「論理」。
自分のアイデアを相手が理解するためには、「論理を用いた話し方」で正確に伝える必要があると説きます。
論理とは、「ひらめき」から湧いてきた自分の「一つの結論」を、自分の頭の中で「再構成」し、アイデアを全く知らない人に伝えるコミュニケーションの技術。
論理的な話し方で自分の意見を的確に伝えられるということは、仲間間でのコミュニケーションが円滑に進み、生活環境が今よりも快適になることです。
”「ヤバい」「超〜」じゃ伝わらない”、”聞き上手は整理上手”など斎藤氏らしいわかりやすい論から、”「論証図」でトレーニング”などの専門的な分析まで幅広く掲載しています。
解説のみならず実際にどうするかが多く含まれた本書は、読み物として楽しみながらスキルアップが望める内容です。
いわゆる文法的側面からの解説などの記載は少なく、どちらかというと「意見が論理的に伝わるとはどういうことか」をわかりやすく書き表したものです。そういった観点から見れば、「コミュニケーションスキル」という枠組みを超えて「物事を有利に運ぶための考え方」まで記載されていると言えます。
齋藤孝氏の経歴
斎藤氏は、東京大学法学部卒業、同大学院教育学研究科博士課程修了し、現在は明治大学文学部教授を務めている方です。
多数の著書を発表しており、『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)は新潮学芸賞受賞、『声に出して読みたい日本語』(草思社)では毎日出版文化賞特別賞受賞、2002年新語・流行語大賞ベスト10を取るなど、たくさんの人に評価されています。同著はシリーズ累計260万部のベストセラーとなり、日本語ブームが起こったのは記憶に新しいですね。
専門は教育学、身体論です。日本語や健康法を、広い意味で教育と関連付け、幅広い層から支持を得ています。
シンプルな読書術、情報活用法なども提案しており、教育という枠を超えたビジネスシーン、日常生活でも利用されています。
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