ドラッカーの「マネジメント基本と原則」の書評・感想・要約

ビジネス書

皆さんは「ドラッカーのマネジメント」と言えば、どんなイメージを持っていますか。もちろん、日本では、本書からではなく『もしドラ』から入った人も多いのではないでしょうか。

 

しかし、もっと知識をつけたいと思って本書を手に取ると、非常に広範囲に渡る社会学の概念的文章が理解できず、読むのをやめてしまった人も少なくないと思います。

 

本書は、世間のイメージよりも「ガチンコで」マネジメントを考察した本です。本格的にマネジメントとそれに伴う社会の知識を身に付けたい方にとっては必携の著です。

 

以下ドラッカーの『マネジメント基本と原則』の書評、要約、感想です。

ドラッカーの「マネジメント基本と原則」の要約

 

P.F.ドラッカー氏の経歴

著者のP.F.ドラッカー氏はビジネス界に最も影響力をもつ思想家として知られています。「分権化」「目標管理」「経営戦略」「民営化」「顧客第一」など、数々のマネジメントの理念を生みました。その多くは今でも普遍的・原則的内容であるとして伝え続けられていますね。

 

東西冷戦の終結、先進国のビジネスシーンに転換期の到来、社会の高齢化をいち早く知らせたことからも、ビジネスを通して社会学的発想にも精通していたと考えられます。

 

2005年に惜しまれつつ他界しましたが、それまでに執筆した著作は「企業とは何か」「現代の経営」「経営者の条件」など多数にのぼります。

「マネジメント 基本と原則」要約

この本は、『マネジメント ー課題、責任、実践』を元に、重要な部分を抜き出した 『エッセンシャル版 マネジメント ー基本と原則』が日本では最も知られた版です。

 

1章 企業の成果、2章 公的機関の成果、3章 仕事と人間、4章 社会的責任、5章 マネジャー、6章 マネジメントの技能、7章 マネジメントの組織、8章 トップマネジメント、9章 マネジメントの戦略から成り立っています。

 

やはり「基本と原則」とある通り、マネジメントの原則に入る前に「企業や公的機関とは」「仕事とは」など原則について多く扱われています。その点ではマネジメントを知りたい人だけではなく社会に関わる多くの人が知って損はない本でしょう。

 

マネジメントに関する詳しい項目は後半に始まります。マネジメントにおいて「組織」がどう位置付けられているかなどに始まり、個人や社会と企業との関わりや、その中で成果を上げることの重要性が語られます。

ドラッカーの「マネジメント基本と原則」の書評・感想

冒頭でも述べましたが、日本では、2010年代に入り『もしドラ』が流行しました。『もし高校野球のマネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』というタイトルから高校生の主人公がドラッカーのマネジメントを応用し野球チームを成功に導いていくという内容です。

 

『マネジメント』という名著をビジネス業界以外の層にも知らしめ、その価値を伝えたという点で大きな役割を果たしました。

 

しかしオリジナルである『マネジメント』の根強い人気が変わらなかったのは、「『マネジメント』でしか得られない内容が沢山あったから」ということに他ならないでしょう。

『マネジメント ー課題、責任、実践』には冗長な部分がある

これはドラッカー氏が折に触れて『マネジメント』を再編するにあたり、編集者に述べていたことです。

もちろん、普遍的な内容と、論理を裏付けする実例の紹介など充実の内容ではありますが、本質的な部分を知りたい人には情報量が多すぎる、と言いたかったのではないでしょうか。

 

そういう視点から見れば、『マネジメント ー基本と原則』は、ドラッカー氏が日本人に伝えたかった形に最も近かったのではないかと考えます。

 

情報の取捨選択のスピードが加速する現代において、最も重要な原則だけを学べる本書は、最も読まれるべきマネジメント本ではないでしょうか。

ドラッカーの「マネジメント基本と原則」の名言

企業の目的は、顧客の創造である。したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それが、マーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。

引用(本文より)

「マネジメント 基本と原則」を通じて多くの名言が残されています。特にエッセンシャル版の本書では名言と感じるものが非常に多く、一文一文深く印象に残るものばかりです。

 

あえてこの言葉を選んだ理由は、やはりマネジメントの本質的な部分であると思うからです。この論理なしには本書は成り立たないと言っても過言ではありません。

 

本書ではマーケティングを市場調査、イノベーションを顧客が気づいていない欲求を発見し、新たな価値を作るとされています。この二つの方法から戦略を展開することで、新たな市場を開拓することができるとされています。

 

日本では本書について、色々なイメージが語られますが、とにかくエッセンシャルな情報が欲しい人にはきちんと答えてくれる、一流のビジネス書です。ぜひ手にとってみてください。

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